出 来 事 戻 る No.1
ナスダックのTOB問題
ナスダックがロンドンの証券取引所に対して資本業務提携を申し入れたところ、ロンドン証取側がこの提案を拒否した。このためにナスダック側は、どうしても提携したいとの理由で一方的に敵対的TOBを行うことを発表した。

このような相手の承諾なくても、TOBに対して株主が応じてくるとTOBが成立し、企業が乗っ取られることになります。このように、日本においても07年5月より商法改正により頻繁に行われることになり株主に多大な利益を与えることになります。
 
ジェイコム株誤発注問題 2005年12月8日

2005年12月8日の午前9時27分、この日東証マザーズ市場に新規上場された総合人材サービス会社ジェイコム(証券コード:2462)の株式(発行済み株式数14,500株)において、みずほ証券の男性担当者が「61万円1株売り」とすべき注文を「1円61万株売り」と誤ってコンピュータに入力した。

この際、コンピューターの画面に、注文内容が異常であると警告する表示されたが、担当者がこれを無視して注文を執行した。「警告はたまに表示されるため、つい無視してしまった」(みずほ証券)という。 この注文が出る直前までは、90万円前後に寄り付く気配で特買いで推移していたが、大量の売り注文を受けて初値67.2万円がついた。その後、通常ではありえない大量の売り注文により株価は急落し、9時30分にはストップ安57.2万円に張りついた。

この大量の売り注文が出た瞬間から電子掲示板で話題騒然となり、様々な憶測が飛びかった。「誤発注である」と見て、大量の買い注文をいれた投資家がいた一方で、価格の急落に狼狽した個人投資家が、非常な安値で保有株を売りに出すなど、さまざまな混乱が生じた。

担当者は、売り注文を出してから1分25秒後に誤りに気付き、3回にわたって売り注文の取消し作業を行ったが、東証のコンピューターは認識しなかった。「東証と直結した売買システム」でも取り消そうとしたが、こちらにも失敗した。東証に直接電話連絡して注文の取り消しを依頼したが、東証側は飽くまでもみずほ証券側から手続きを取るように要求した。その間にも、買い注文は集中しはじめ約定されてしまう危険性があったことから、みずほ証券は全発注量を「反対売買により買い戻す」ことを決定する。

反対売買の執行により、すべての注文は成立し株価は一気に上昇し、9時43分には一時ストップ高77.2万円にまで高騰する。その後、他の証券会社や個人トレーダーの利益確定売りや押し目買いなどにより、株価は乱高下をともない高騰し、結果として10時20分以降はストップ高である77.2万円にはりついた。みずほの反対売買にもかかわらず、すでに注文を出されていた9万6,236株の買い注文については相殺しきれず、そのまま市場での売買が成立してしまった。

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事件当日の憶測

事件発生当初、「この誤発注の主体者が、誰であるか」について様々な憶測情報が流れ、ジェイコム上場の主幹事である「日興コーディアル証券」がその当事者ではないかとの観測が流れたことから、同社株が前場引け時点で前日比100円安と急落。日興シティ・日興コーディアル・マネックスの日興グループ3証券は急遽、「この売り注文には無関係である」とのコメントを出す事態となった。

また、市場全体もこの誤発注の当事者を「さやあて」する思惑や連想などから、前場中頃から証券株、銀行株などに売りが波及していた。これが後場に入ると、さらに「誤発注した証券会社が、自己売買部門で利の乗っている銘柄に売りを出すのでは」との見方が広がり、日経平均は下げ足を速め全面安の展開となり、大引けの日経平均は前日比301円30銭(1.95%)安の1万5183円36銭と、年初来3番目の下げ幅となった。

事件の当事者が、「みずほ証券」であることが明らかにされたのは、大引け後に同社が会見を開いた18時前のことである。誤発注である事と、その当事者が即時に明らかにされなかった事については、市場の透明性を損なうと非難する声もあった。

翌日以降

事件発覚後、すぐに関係機関による内部調査が行われ、翌9日以降ジェイコム株の取引は一時停止された。発行済み株式総数の42倍にのぼる売り注文に対して、実際に約定された枚数は9万6,236株。

売り方であるみずほ証券は、現存する総株式数の6.6倍もの引渡しを求められる格好となり、通常での取引決済が不可能となっていることから、日本証券クリアリング機構は現金による強制決済による解け合い処理と裁定し、すでに買われた株は、事件発生の直前に寄りつきつつあった価格を参考に一株91.2万円での買戻しとした。現金による強制決裁は1950年の旭硝子株以来、55年ぶりとなった(1950年の強制決済については山一證券を参照の事)。

この誤発注、および強制決済によりみずほ証券が被った損失は、407億円とされる。

取引が再開された12月14日以降、ジェイコム株はストップ高の連続で、一時220万円超の価格をつけた。その後2006年1月には過熱感が落ち着き、150万円前後まで値を下げた。

原因

みずほ証券側の原因

直接の原因は、みずほ証券の男性担当者による「大量の誤発注」である。しかし、人為的ミスは誰にでも起こりうる事であり、それは事前に想定されるべき事である。今回の誤発注には、有識者から以下の問題点が指摘されている。

  • 対応マニュアルが不十分で、現場の人間に理解されていなかった事。
  • 東証など関係機関との連携が、完全にとれていなかった事。
  • 入力時のチェックシステムが、人的ミスを回避するように設計されていなかった事。

東証側の原因

その一方、みずほ証券は早期段階より、東証担当者とも連絡をとっており、注文の取り消しを依頼するなどの対策を取っていたが、結局「注文の取消」が東京証券取引所に受け付けられなかった。

この点について、東証は当初、取り消す注文を特定する際に、「1円61万株売りの注文」ではなく、有効な価格、すなわちストップ安の価格で「57.2万円61万株売りの注文」と指定するべきであり、これに従わなかったみずほ証券側に全面的責任があると説明した。しかし、決済システムの仕様を確認した上で、数日後に以下の点が明らかになった。

  • 仕様上は「1円61万株売りの注文を取り消し」を東証側システムで「57.2万円61万株売りの注文を取り消し」と読み替えて受け容れるべきである事
  • 取り消し注文については、みずほ証券に手続き上のミスが無かった事
  • プログラムにミスがあり、上記仕様を満たさなかったことから、取り消し注文が受け容れられなかった事、
  • 最初の誤発注では「1円61万株売り」を「有効な価額の下限で61万株売り」と読み替える「みなし処理」が行われたが、「みなし処理」による注文を処理中は取消しが受け付けられないプログラムになっていたこと。
注)「みなし処理」を行わない注文では、処理中でも取消しができる。

これにより、誤発注を取り消せなかったのは「東証の対応ミス」「東証システムの不具合」であることが判明した。システムの不具合について、東証は「システム納入業者」へ、損害賠償を請求することを検討するとした。

総合的な問題点

上記に挙げてきた双方の問題点を踏まえ、客観的に結論づければ、下記3点の問題点がなければ、ここまで巨額の損失には至らなかったはずである。

  • ありえない売り注文に対して、その注文を受け付けるシステムだった事。
  • システム構築のミスで、「注文取消しの指示」が仕様通り受け付けられなかった事。
  • 東証が即座に、売買の一時停止をしなかった事。

発端となった売り注文では、実在するものの42倍の株数を指定しており、これだけを見ても明らかに異常な数値である。しかし東証では、例えば「株数のチェックを行う事を追加する」だけでも、システムに負荷がかかるとして、直ちにチェック機能を組み込む事には、前向きな姿勢を示していない。

その他に、仕様の定義が不十分で、例外的な注文に対処できていなかったこと、また、例外的な注文に対応する仕様が、きちんとプログラムされているかどうかを検証していなかった事など、システムを運用する立場として充分な配慮が欠けていたと指摘されている。

当事者の事後処理

誤発注に乗じて他の証券会社が多大な利益を揚げた事について自民党などより批判の声が上がり、利益を自主的に返還する動きが出た。一方で、みずほ証券は、システムの欠陥によって損失を強いられたとして東証を相手に損害賠償を請求している。

証券会社の利益返還

発注ミスによる損害としてはあまりに巨額であり、また他社の錯誤・過失につけこむことが「火事場泥棒的な行い」との批判が自民党などからおこった。与謝野金融担当大臣は「誤発注を認識しながら買い注文を出すことは法的には問題はない」とした上で「顧客の注文を取り次ぐのではなく、自己売買部門で間隙(かんげき)をぬって売買するのは証券会社として美しい話ではないと思う」と述べた。

それらの発言を受けるような形で、東京証券取引所などの関係機関は、この事件で利益を得た証券会社に対し、自主的な利益の返還を提案した。

12月14日にはUBS、日興コーディアルグループ、モルガン・スタンレー・ジャパン、リーマン・ブラザーズ証券グループ、クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券、野村証券の6社が利益返還に応じる構えをみせ、その他の中堅証券会社も追随する動きを見せた。

翌年2月になって、返還方法については、直接みずほ証券に対して返還するのではなく(贈与となるため)、「株式市場安定のための基金創設」や、「公的団体への寄付」に利益を充てる方向で調整されている。一方で、その後に態度を保留させる証券会社も出てきた。

利益を得た証券会社や投資法人としても、ジェイコムで得た利益を確定的なものとして、他の銘柄の損失補てん(損きり)などに充当したケースなどもあるはずであり、安易な利益返還はできないのは当然であろう。また、証券会社や投資法人などにとっても、自社の「株主・出資者の利益」を最優先にしないと訴訟を起こされかねない、という事情もあると考えられる。

過怠金

2006年3月22日、東証はみずほ証券に対して、1000万円の「過怠金」を科すと発表した。発注業務の管理に問題があった他、過去に「誤発注発生のリスク」を指摘していたにも係わらず、みずほ側が適切な処置を取らなかった「信義則違反」に当たると判断したためである。

損害賠償

みずほ証券は、システムが正しく動作して取り消し手続きが受け容れられれば損失は5億円前後で済んだ筈であるとして、システムの欠陥を理由に膨らんだ損失404億円を損害賠償をするように求めていたが、東証側は賠償に応じる義務は無いとして拒否している。みずほ証券側から東証側に9月15日を期限として404億円を支払う様に求める催告書が送付されており、これを過ぎた場合には損害賠償請求の提訴も辞さないとしている。

利益を得た個人トレーダー

今回の誤発注事件においては、とりわけ巨額の利益を得た「個人トレーダー」が、マスコミに大きく取り上げられた。これまでは、社会の闇の部分で暗躍するようなイメージだった「仕手」という存在が、個人レベルにまで広がりつつある事を大衆に印象づけた。(年齢はいずれも事件当時のもの)

24歳の会社役員

東京都港区在住の24歳の会社役員I・T氏が、3701株(発行済み株式の25.52%)を取得し、現金決済で約5億6300万円の利益を上げていたことが、大量保有報告書で分かった。森電機の第4位の大株主でもある。

27歳の無職男性

千葉県市川市在住の27歳無職の男性(通称ジェイコム男、あるいはB・N・F)が、6000株(発行済み株式の41.38%)を取得し、現金決済などで20億3500万円の利益を上げていたことが、大量保有報告書で分かった。今回の発注ミス事件において、個人利益では最高額となる。わずか10分程度の間に、自己資金34億円を投入し、約20億円超を6日間で稼いだ計算になるが、当人は「いつもと変わらず冷静だった」と語っていた。

男性は5〜6年前に、学生時代のアルバイトで稼いだ160万円からスタートし、2006年7月現在の個人資産は約140億円。2億円の豪邸を建てた以外には、特別に贅沢をしておらず、普段は専用のトレードルームで一人で取引している。

スイングトレードでの資産運用が得意だが、PERなどの指標は全く見ない、デイトレード的な逆張りスウィング・押し目買い中心らしい。判断基準は、「感覚というより慣れ。トータルの値動きへの洞察力が、最も大事。日経平均や先物市場の動きを見ている」 とのこと。

この事件以降、しばしば雑誌やテレビの取材に顔を伏せて答えていたが、2006年2月28日、テレビ番組「ガイアの夜明け」で素顔を明らかにした。